注意・主観しかありません。
るんさん、ゆけくんはギターが好きなのです。
でも実は「ギターが好き」と声高々には言えないのです。
なぜなら「ギターやってる」というのは自分の中でめちゃくちゃ神格化されていて、どうしてもカッコイイもの、カッコイイひとのものだ、他人にもその印象を持たれるのが怖くて困るからです。
「ああ⋯⋯そんな人だよね」と思われてもいいころかな、と思っています
だから自分が普段弾いてる様子とかあんまり見せない。
実は結構地味なので。
俺はギターがだいすきなのです。
モノとしてもカッコイイ。 出る音もカッコイイ。 持ってる人もカッコイイ。
特に生形真一というギタリストは俺の憧れです。
あの人は、出す音も、持ってる姿もカッコイイ。
ギターのメーカーは大きく二つに分かれるといってもいいでしょう。
工芸品の面影を残すギブソン。
工業品として製造されるフェンダー。
正確には、今ではたくさんの「顔」になれるメーカーがたくさんありますが。
上の二つにおいて、値段は、フェンダーのほうが安いです。
ふたつのメーカーは代表する「かたち」があります。
ここらへんは、どんな音楽がやりたいか、で決めてもいいし、なんなら見た目で選んでもいい。 俺はレスポールが大好き。 前述の生形真一というギタリストはギブソン・ES-355というギターを使っています。 彼はレスポールも使いますが、メインではありません。 ES、というのはレスポールよりも工芸品に近いのですが、ものすごくロックな音も出すことができます。
ギターには決まった「この音を出せ」というのはありません。
でも「それに適した音」というのはあります。
だから、自分の出したい音がそのままするっと出てくることは非常にまれ。 なんなら、それを求めるがためにギターの機材というのが今でも新しく出続けているのです。
ただ、俺は「理想の音」は出なくていいと思っています。
出したい音の要素とギターの特性が合わさると予想だにしなかった音が出ます。
そして、ただ一本のギターを弾き続けると、プレイヤーはそのギターに合わせた弾き方をするようになる。 弾き方にも種類はあって、さらにそのうえに力加減など独自のものが合わさる。 だから他人と同じ音は、まったく同じギターのセッティングでも出ない。
さらに、ギター自身も変化する。 「音が枯れる」とかいう言葉もそれに起因する。 同じフレーズや多用する音は輪郭などが変化します。
だから、そのふたつを合わせた生形真一というギタリストは、「工芸品に近い」ギターで非常に抜きんでたロックな音が出る。
いろんなギターを持ち替えて演奏する人には出せない「唯一の音」を出す人なのです。
それがカッコいい。 求められるがままではない、不完全でも輝きは唯一のもの。
それがいい。
今保有しているのも、レスポールスペシャル。 レスポールのメーカーとしてはギブソンより少しランクの低い、エピフォンのものです。 しかも、俺のギターの正式名称は「レスポール・ジュニア・スペシャル」です。 「あれ? きみ、なんか違くない⋯⋯?」な子なのです。
世界で一番カッコイイギターです。
このギターでは、俺の弾きたい「理想」はできません。
だけど、このギターだから、俺が弾いてるから輝く何かがあると思うのです。
ギター、やってみたい。 なにか楽器やってみたい。
そう思ったきみ。 やってみればいい。 最高だよ。
楽器は長続きしない、途中でやめちゃう、という方が多いです。
たぶん、出したい音が出ないから。 楽器側、プレイヤー側の力が足りないから。
俺も、小学生のころから弾き続けて(今のメイン、レスポールは二年ほど前に入手しましたが)いるけど、自分の出したかった音は一回も聴いたことない。
だから、途中で辞めちゃう人の気持ちはよくわかる。
楽器を弾かなくなることはちょっと残念。
なぜならその楽器は、きみに音を鳴らしてもらうために生まれてきたから。
今日お伝えしたいことはひとつ。
これは楽器全般が対象。
「楽器が長続きしません。 どうしたら長続きしますか?」
という問いにお答えします。
「きみがその楽器を大好きでいていたら、大丈夫だよ。」
たとえフレーズが弾けなくても、コード変更に指が追い付かなくても、指が痛くなっても、弾かないまま時間がすごく経っていても。
きみがそのギターを大好きなら、大丈夫。
出る音がすっごくかっこいいなら大丈夫。
大丈夫。 その子はきみと一緒に歌うために生まれてきた。
きみが本気で叫びたいときに、きみの代わりに、いつしか一緒に叫んでくれる。
悲しいときに、おなじように悲しい音を出してくれる。
自分の楽器に、そう思えなかったとしても大丈夫。 その子は絶対きみといっしょがいいって思ってる。
Volumeツマミを全開にしたら世界をあっと言わせられる力がきみたちにはある。
きっと、俺にもある。
だから大丈夫。 他人より上手だ下手だ、なんか考えなくていい。 はじめて出会って、「この子にしよう」と思った時からその子はきみと一生いようって思ってる。
お金を貯めて、15万円するレスポール・スペシャルを買うためにがんばります。
世界で一番かっこいいふたりになるために、きょうもあしたも頑張るのです。